お金がないと老人ホームを利用できないのか

高齢社会となった日本において、老人ホームの存在は非常に重要なものと考えられています。特に認知症になった高齢者を持つ家族や、将来介護してくれる家族がいない人にとって、老人ホームの利用は安心感にもつながっていますよね。

ただ老人ホームを利用するためにはある程度お金が必要となるため、金銭面を不安視する人も多いです。そこで今回は、お金がないと老人ホームを利用できないのかどうか解説します。

老人ホームを利用する場合にかかる費用相場

老人ホームを利用するためには、ある程度の費用が掛かります。費用の内訳としては老人ホームによって若干異なる部分があるものの、入居費用と月額費用の2種類が挙げられています。入居費用は賃貸物件でいうところの敷金礼金などの入居する際に発生する初期費用で、老人ホームの種類によっては1000万円を超えるところもあれば無料としているところもあるようです。

また月額費用としては食費や光熱費のほか、老人ホームの場合は介護度による負担金、おむつなどの消耗品にかかる費用も含まれています。

これらの費用相場は、入居費用がおよそ10万円、そして月額費用がおよそ14万円ほどとされています。ただしこれはあくまでも全国の費用相場であり、東京都など都心の場合は入居費用だけで数百万円かかるところも珍しくありません。

さらに入居を検討している老人ホームの種類によってもかかってくる費用相場は大きく異なってくるため、自分が入居を検討している老人ホームがどの程度費用が掛かるのか事前に確認しておくことが大切です。

老人ホームはお金がないと入れないのか

このように老人ホームを利用するためにはある程度まとまったお金が必要となるほか、月額料金も負担しなければいけないので継続して利用するためのお金も不可欠です。そのため多くの場合は年金をあてがって老人ホームに入居しているのですが、年金だけでは老人ホームの費用を賄えないというケースも少なくありません。

老人ホーム側としても介護を慈善事業として行っているわけではないため、お金が払えないという人を無償で利用させるということは難しいようです。

ではお金がないと老人ホームに入れないのかというと、工夫することで老人ホームに入れる可能性はあります。そもそも老人ホームが提示する利用料金は一律ではなく、施設の種類や運営している会社によって料金設定は異なります。

このためお金を持っている人をターゲットに絞った高級な老人ホームもあれば、低所得者でも利用できる安価な老人ホームもあるのです。ほかにも施設の種類が違えば入居にかかる費用や月額費用も異なってくるので、自分たちの予算に見合った老人ホームを見つければ利用することは難しくないと言えます。

お金がないけれど老人ホームに入る方法

お金がなくても老人ホームに入る方法としてまずポイントとなるのが、入居や月額でかかる費用を節約できるかどうかです。例えば入居費用として一時金が必要となる老人ホームもあれば、入居費用を必要としないところもあります。

入居費用が無料となっている老人ホームの場合は月額費用が高く設定されているというデメリットもありますが、入居費用を節約できるのでより長く老人ホームを利用できるというメリットもあるのです。また月額費用に関しては個室よりも相室の方が安く設定されていることが多く、駅から遠いなどやや不便な立地にある老人ホームの方が費用を安く設定しているところが多い傾向があります。

このように入居費用や月額費用を節約することで、通常よりもお金をかけずに老人ホームを利用できます。また一定料金ではなく、入居する人の予算に合わせて複数の価格プランを提示している老人ホームも増えてきているようです。

このような老人ホームを検討すれば自分たちの予算に見合うところを見つけられるのはもちろん、低予算で入居できる可能性も高くなりますよね。

本当にお金がない場合の老人ホームに入る方法

本当にお金がない、けれども老人ホームに入りたいという場合には介護関係の制度を利用するという方法もあります。負担限度額認定制度と呼ばれる制度は、名前の通り費用の負担額の限度を設定することができるものです。

似たようなものとして高額医療・高額介護合算制度というものもあり、これらの制度を利用すると自分たちが負担する費用を軽減することができます。これらの制度を利用するためには市区町村を通じて申請を行う必要がありますが、申請すればお金がない人でも老人ホームをはじめとした介護や医療サービスを安心して利用することが可能です。

また申請したけれども制度を利用することができなかったという場合は、生活保護を受けることも視野に入れる必要が出てきます。

生活保護を受けたとしても老人ホームによっては入居できることもありますし、生活保護を受け入れている老人ホームは費用も安価なので予算内で入居することは難しくありません。いずれの方法を利用するとしても市区町村で手続きをしなければいけないので、分からない場合は管轄内の役所や地域包括ケアセンターなどの利用がおすすめだと言われています。

お金がない人が老人ホームを利用する場合の注意点

このようにお金がない人でも、老人ホームに入ることは難しくありません。ただここで注意しておかなければいけないのが、きちんと予算に見合った老人ホームを見つけることです。老人ホームは入居費用を支払えば終わりというわけではなく、賃貸物件のように月額でも費用を支払い続けなければいけません。

そのため入居費用よりも月額費用が予算に見合っているのかどうか確認しておかなければ、途中で支払いができなくなって退去を余儀なくされてしまうという可能性もあります。ほかにも老人ホームは入居すればずっとそこで過ごせるわけではなく、条件次第で退去しなければいけない場合も少なくありません。

特に介護や医療の必要性が高まってくると利用できる老人ホームも限定されてくるので、万が一別の老人ホームを探さなければいけなくなった時のことも踏まえて予算やお金がなくなった時のことを検討することが大切です。

お金がなくても老人ホームは利用できるが注意は必要

将来のことを踏まえて老人ホームを利用したいけれども、お金がないことが心配という人は増えてきています。そのような人でも老人ホームの条件や選び方を検討したり、市区町村の制度を利用することで入居できる可能性は十分あるのです。

そのため老人ホームを利用する際の将来設計について、予算に見合ったものを検討することが重要だと言えます。